エディトリアルデザイナーのアプリ制作日記

Unityで遊ぶ個人開発者のメモ書き

縦書きノベル制作日記 その15 リリースまであと少し!

 昨年の9月から作り続けてきたノベルゲームも、いよいよリリースまであと少しのところまでやってきました。しばらくこのブログもほったらかしだったので、この際だからと、たまの更新ついでにこれまでの状況をだらだらまとめてみます(無駄にながーいです)。


【Live2D_2016】「夏(KAREN)恋 〝好き〟から始まる物語」

映像使用・BGM
Summer sky -夏空-(http://dova-s.jp/bgm/play3363.html
映像使用・背景素材
あやえも研究所(http://ayaemo.skr.jp
きまぐれアフター(http://www5d.biglobe.ne.jp/~gakai/ind...

 

 長期間同じものを作り続けていると、常にテンションマックスで開発を続けられるわけではありません。個人の趣味でやっているならなおさらです。ひとりぼっちでPCに向かっているだけだと、ダウン状態に陥り開発がストップすることもしばしば。そんな状態からやる気スイッチを押し直し、エンジンを掛けるためにはどうしたらいいか。今回の制作を通して、自分がモチベーションを保つためにやってきたことをまとめてみます。

最初の停滞期>制作から2ヶ月経過…面白くないねぇ(2015年11月頃)

 そもそもこのゲームを作ろうとしたきっかけは、「縦書きのビューアーがあったらいいな。昔のゲームブックのように遊び要素も加えられるようなものだと尚良し」でした。そこから、選択肢までのタミングをあまり冗長にせず、テンポ良く読めるようなノベルゲームなら、ゲームとしても面白くなるかなと考えながら発展させていきました。わからないことを調べながら、徐々にやりたいことを組み込んでいけいている時は、テンションも上がります。目に見えて成果が上がりますからね。作り方自体は褒められたものでもないのですが、縦書き表示にスクリプトエンジンなどのシステムを組み込み終わって、一通り完成形が見えてきます。

 で、ある程度出来上がってきたものを振り返って「これ?面白くなるの?」と自問自答してみると……ただのビューアーにチンケなテキストがあるだけでは、面白いもクソもないことに気づきます。もっとも重要なシナリオの未来を見ていない状態で、ゲームとしての評価をするのが間違っているのですが、自分が作りたいのはやっぱりゲーム。簡単なサンプルも書いてましたが、圧倒的にボリュームが足りません。とはいえ、ゲームのシナリオなんて書いたことはないし、頼める人もいない……と、ここで、一回目のスイッチOFF状態になりました。

脱出方法>まったく別のアプリ制作に手を出す

 最初の倦怠期を抜け出すために取った行動は、並行してまったく別の新しいアプリを作り始めることでした。そのとき、自分のtwitterのTLを賑わしていたのがVR。本格的なものは無理として、CardBoard対応くらいなら…と簡単な一発ネタゲームを一ヶ月くらいかけて制作。1本アプリを完成させることで、ダウンしていたやる気ゲージもリフレッシュ。開き直って、これだったらなんとか書けるだろうと設定を練り直し、とりあえず1プレイ10分くらいで読み終わるくらいのボリュームを目指して、シナリオを書き進めていきました。

停滞期その2>シナリオ制作に行き詰る(2016年1月頃)

 成り行きで始めたシナリオ書きでしたが、好きなように好きなことを書いていくことが存外に楽しく、開発へのモチベーションが復活。しかし、所詮基本も全く知らない付け焼き刃のシナリオ書きです。シナリオの構成やら辻褄合わせに苦労していき、1ヶ月、2ヶ月と経過するにつれ、徐々にシナリオを書くペースがダウンしていきます。システムを改修したりなど、別のことをしたりして気分転換を図るも完全に復活ならず。開発のテンションが徐々に下方へ向かっていきます。

  開発は停止ししていないものの明らかに停滞期。テキストのみの作業なので、ビジュアル的にぱっとしなかったのも原因かもしれません。そこで、行ったのが以下の3つ。

 脱出方法1)制作状況をブログで晒す

 おもむろにWebGLでビルドして、本ブログで制作状況を晒すことにしました。具体的にレスが欲しいとかそういうところまで期待はしてなかったのですが、やはり人の目があると錯覚するだけでも「やらなきゃ!」と前へ進める原動力とはなりました。が、モチベーションは微増といったところ。

 脱出方法2)ビジュアルに手を出す

 このゲームに組み込むつもりはなかったのですが、2016年の初め、おもむろに2015年末からインディーズライセンスを大幅に値下げしていたLive2Dを購入してしまいました。購入してからしばらく放置していたのですが、すっかりテキスト作業に飽きていた気分転換に……それまで軽く描いていた挿絵の一枚をベースにしてLive2Dに挑戦してみると思いの外、好感触。「やっぱビジュアルは大事だよね」と作業量の大幅増加も考えず、本格的な導入の検討を始めました。のちに自分の首を絞めることになったのですが、完成しつつあるものを見ていると、無理をしてLive2Dモデルを入れて良かったと言えます。

 脱出方法3)他人を巻き込むことを考え始める

 ビジュアル作業と並行して、さらにモチベーションを上げる&シナリオ作業を加速させるためにキャラクターに音声をつけることを検討します。声を依頼するためには、シナリオを書き上げなくてはなりません。シナリオすべてでなくとも、声を依頼する場所は確定させなければなりませんから。以前勉強会でお会いした声優さんにお願いできたらと、シナリオが書き上がらないうちからなんとなーく打診をしつつ、シナリオの全貌が見えてきた時、退路を断つ意味で正式に依頼。快諾していただきました。人にお願いしてしまったからには、そう簡単にご破算〜とするわけにはいきませんからね。これは「このアプリを完成させたい!」という大きな原動力となりました。

倦怠期その3>作業量に圧倒され始める(2016年3月頃)

 成り行き任せの仕様追加で、作業を進めるうちに「これ、終わらなくね?」というくらい、とにかくやらなければいけないことが多くなってきました。やりたいことをやりたいだけ突っ込んだのですから当然のことです。個人開発なんだから、ながーくやればいいじゃん、といいたいところですが、夏の話のシナリオなので、うかうかしていると来年までリリースができないことになりかねません。とはいえ、来年までモチベーションは保たないのは自分でもよくわかっているので、なんとか区切りをつけてまとめる方策を考えます。ここでやったことは、締め切りの設定とやりたいことの優先順位をつけ直すことでした。

脱出方法>明確な締め切りを決め、優先順位を細かくつけ直す

 締め切りは、ちょうど募集のあった「Live2D Creative Awards 2016」のタイミングに便乗。可能ならコレに応募することを目標にしました。アプリ自体は、ゲームとして最低限の体裁を保てるであろうという要素を洗い出し、スケジュールしだいで継ぎ足していくことにしました。これによって、締め切りから逆算して、それぞれどれだけの時間をかけられるか決め、時間に余裕ができたら追加で要素を入れ込んで作業を考えられるようになりました。こういったところは、まだまだゲーム制作経験が未熟で適当にやってるなぁと思い知らされるところであり、反省したいところです。

優先度 高>

シナリオテキスト:これがないと終われない。

幼馴染二人のモデリング&モーション:どっちかにするわけにもいかず、0がALLかなので、必死に作業する。

タイトル画面:さすがにトップメニューくらいないと不親切。

 セーブ機能などのオプションメニュー:すでにある程度作ってあったので、これはまとめるだけ。

優先度 低>

オープニング演出:起動直後にタイトル画面でもゲーム性に変化が無いため、ナシでも問題無し。

エンディング演出:オープニングと同じく、ゲーム性に影響はないので最悪カット。

ゲーム中の演出と関係ない主人公のモデリング主人公以外の二人は、ゲーム中の演出上、デザイン&モデリングは必須でした。しかし、主人公のモデルを使うとしたらオープング&エンディングのモノローグくらい。必然的に「なくてもいいか」状態でした。今回、主人公の声がないのは「まさか入るとは思ってなかったから」です。

クリア後のボーナス要素:プレイ中に見たモーションやエンディング再生とか、あると嬉しいけどなくてもいいやレベルなもの。

チュートリアル:なくても遊べるシステム…のはず。

そしてリリース直前!

 なんだかんだと言い訳やら理由をつけてきましたが、もっともモチベーションを上げる効果として大きかったのが、いかに「ゲームを楽しんで作ることができる要素を見つけるか」ということでした。そして、リリース直前なのにこんな長文を書いているということは……まさに最後の停滞期だったりします。クオリティを上げるために最後の踏ん張りどころなんですが……あと少し、がんばらなきゃ。うん。