エディトリアルデザイナーのアプリ制作日記

Unityで遊ぶ個人開発者のメモ書き

Unityアクションゲーム制作記 その34 広告動画を視聴してもらうための導線作り

  いろいろと思惑が外れたり、流行り終わりのインフルにひっかかったりして、ちょっと低空飛行な進捗の中、なんとか広告関係の処理がまとまりました。ゲームをプレイする立場からすると、基本的に広告は嫌いですし、なければないほうがいい派の人間ですけど。

 しかし、基本無料は最初から決めていたことなので、収益を上げるためにも広告は必須。「ブラック・ブラッド・ブレイカー」にも、何らかの形で広告を導入せざるを得ません。そこで、導入にあたっては、Unity Ads meet upなどのセミナーで学んだことや、いろいろな人のアドバイスをもとに、以下の3つを基本方針としてゲームへ組み込むことにしました。

 

  1. ゲームプレイのじゃまをしない。
  2. あくまでゲームプレイを手助けするものとする。
  3. 広告視聴は、プレイヤーが能動的に行う。

 

 要は「広告を視聴しなくてもゲームは楽しめるけど、視聴することで、もっと快適にゲームを楽しめる」ようにするということです。

 結論から言うと、「ブラック・ブラッド・ブレイカー」では、下の図のようなタイミングで広告への誘導ボタンを入れるようにしました。 

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 以下、どのような思惑でゲームの流れと広告をまとめていったのか、紹介していきます。

 

どこで広告視聴をさせるか?

 まずは、どこでプレイヤーに広告を視聴させるか。「ブラック・ブラッド・ブレイカー」でのゲームのループは以下の図の通りです。

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 特にゲームの中心となるダンジョンでの戦闘とアイテム収集に、それぞれうまく広告を絡められるのがよさげです。プレイヤーの強化は、アイテムによるところが大きいので、ここの要素に絡めることはひとまずパスしておきました。

ダンジョンで広告を視聴してもらうタイミングは?

 ダンジョン内の戦闘において、プレイヤーの邪魔とならない、もしくは自発的に広告視聴をしたいと思わせるタイミングとして、すぐに思いつくのは、ゲームオーバー時のコンティニューです。しかし、コンティニューさせることが目的のデザインになってしまっては、ユーザーのストレスを溜めるだけ。なので、あくまでコンティニューアイテムがなくなったときの救済手段として用意しました。

 次に広告を入れるタイミングとして思いついたのが、雑魚との戦闘を終え、ダインジョン最奥に待ち構えるボスに挑戦する直前です。「ボス戦だけどアイテム足りてる?」とプレイヤーを煽るセリフをはかせつつ、お助けキャラを出現させるようにしました。ダンジョン内に散らすことも考えましたが、お助けキャラを探すことを目的とすることは避けたかったので、ボス戦直前のみにランダムで出現するようにしてあります。

  他にも、ダンジョンクリアタイプのゲームなので、広告視聴をすることでコイン入手>新たなダンジョンへの挑戦権を得るという流れも考えました。しかし、広告を視聴しないと新たなプレイ体験ができないのはなんとなく嫌かも、ということでひとまず保留です。

アイテム収集に広告視聴を絡めるには?

 次にアイテム収集との絡み。簡単なのは、宝箱からアイテムを入手するときに広告を視聴すると良いアイテムが手に入ったり、個数が増えたりする仕組みです。他にやりようもないかな、ということで、これを基本方針にしました。あとは、どのタイミングで広告を視聴してもらうかです。

 「ブラック・ブラッド・ブレイカー」でアイテムを入手するタイミングは、いまのところ、ダンジョン内にある宝箱を開ける、ボス戦後の報酬として獲得する、実績して解除してもらう、この3つだけ。報酬が固定されている実績解除のタイミングは、真っ先に除外。ダンジョン内の宝箱は、意外に多く設置してあり、ここに広告視聴への導線を入れてしまうと、いちいち広告を視聴しないとダメと思われそうなので、これも除外しました。そうなると、残りはボス戦後の報酬。ここに手を入れて、なんとか広告へ誘導しないといけません。

 ちなみにボス戦後に入手できるアイテムは、バトル評価に応じて最大8個のアイテムを獲得できるという、とってもシンプルなシステムでした。シンプルゆえに、報酬の個数の追加が難しく、広告を視聴してもらったときの報酬としては、獲得確率アップくらいしか組み込めない状況……。

 そこで、欲しいアイテムを入手するためには、広告を視聴してもいい、広告の視聴も厭わないようにしたくて、少々手間取りましたが、プレイヤーにボス戦後の報酬を選ばせる仕組みに変更しました。流れは以下の通り。

 

  1. 報酬のアイテムが入っている宝箱は、常に8個用意。
  2. 中に入っているアイテムは、バトル評価によって変動。
  3. バトル評価によって、宝箱を開けられる個数は変動(最低評価なら1個、最高評価なら5個)。

 

 そして、広告を視聴すると、開けられる個数を増やせたり、宝箱の中身を確認してから獲得したいアイテムを選ぶことができるようにしたのです。より多くの宝箱を開けたい、はずれを引きたくないのであれば、広告を視聴してもらうという流れですね。

 ホームメニューから広告視聴への導線を用意

 広告導入方法に悩んでいて、いろいろな人に相談に乗ってもらった時に受けたアドバイスとして、アプリ起動直後のホームメニューに、ゲームをプレイしたくなるような導線を用意したほうがいいというものがありました。アプリを立ち上げたときにいいことがあれば、広告視聴の回数も稼げるし、アプリ自体の継続率も上がる可能性が高いというもの。そこで新たに、ホームメニューにブーストチャンスシステムを用意しました。その中身は、バトル評価が必ずAランク以上になるものと、ボス戦後のアイテム獲得確率が2倍になるのものです。

 「ブラック・ブラッド・ブレイカー」では、バトル評価が上がる=良いアイテムが手に入る可能性が高くなるシステムとなっています。ブーストチャンスを受けることで、短時間のプレイで高評価を受けられ、アイテムも集めやすくなるという具合です。基本的に、じっくりがっつり遊ぶアプリなのですが、このシステムによって、アプリを立ち上げて、ちゃちゃっとアイテムを集めて終わるといったこともできるようになりました。ちなみにボス戦後のアイテム獲得確率が2倍も実装してみたのですが、実装してこのブログを更新している最中に「これってバトル評価アップとある意味同じ効果なのでなのでは?」と気づき、ちょっと別の効果に変更していきたいと思います。

 次のアップデートは、この広告系の変更と、アイテムドロップテーブルの調整&変更がすんでからかな。相も変わらずの迷走っぷりで、どこがゴールか見失いかけてなくもないですが、今後もがんばって進んでいこう。うん。